いまや、がんによる死亡が死因のトップを占め、3人に1人はがんで死ぬ時代になった。なぜ、がんの治療法の開発が進まないのか?がん治療の3本柱は、外科手術、放射線、抗がん剤である。外科手術で取り除けなかったがん細胞、放射線で殺せなかったがん細胞を抗がん剤でやっつける。これが、がん治療の基本である。生き残ったがん細胞を正常細胞と区別してやっつけるのは至難のわざであり、QOLを低下せせる副作用がつきまとう。そこで、第4の治療法として期待されるのが、がんの免疫療法である。我々の身体は、“自然免疫”という、無差別に異物を攻撃する仕組み(一次防衛隊)と、“獲得免疫”という、“自己”ではないという印を見分けて攻撃する仕組み(二次防衛隊)の二重の防御体制で守られている。この二つの免疫機能の橋渡しの役目をする、つまり免疫応答のかなめになる細胞が樹状細胞であるということが分かってきた。実はこの免疫応答の司令塔がラクトフェリンらしいのである。つまりラクトフェリンは、樹状細胞を活性化して、自然免疫と獲得免疫の両方を活性化すると考えられている。